第３回沖縄国際映画祭　2011年3月18日(金)～3月27日(日)

３月25日（金）、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターにて、シアター１での『オムライス』上映に先立ち、木村祐一監督、出演の南野陽子さん、陣内孝則さん、西方凌さん、バッファロー吾郎、藤井隆がレッドカーペットを歩き、舞台あいさつを行いました。

舞台あいさつで、木村監督が東日本大地震のことに触れ、「本作が完成しても果たして意味があるのか、無力感にさいなまれ、涙があふれましたがが、試写を見終わった後、出演者やスタッフから笑いがあふれ、僕自身が救われました。笑いはいやしにもなるし、勇気にもなるんだと有意義な気持ちでいっぱいになりました」と映画への思いを真剣に語りました。

本作はありふれた日常を木村監督の独特の目線で一歩踏み込み、妄想や想像をふくらませた40もの物語で、「ストーリー性はございません」ときっぱり。「妄想の羅列で、出演者の多さに驚いてください。ライブ感覚で楽しむことができる映画です」と紹介しました。

木村監督のオファーを二つ返事で快諾した陣内さんは「大掛かりな撮影になるのかと思いきや、意外とこぢんまりしていて、半日で終わりました。沖縄まで舞台あいさつに来るような役じゃないんですよ」と照れくさそうにしながらも、「出演者の魅力を存分に引き出してくれます」と監督を絶賛しました。陣内さんの娘役を演じた西方さんは「陣内さんと二人で、与えられた時間をどうやって面白くしていこうかと話し合いました」と撮影時のエピソードを披露しました。

FUJIWARA・原西と夫婦役を演じた南野さんは、「陣内さんよりも出番が短いんですよ。夫婦の役どころは予行演習になりました」と照れながら話し、会場から大きな拍手が沸き起こりました。いつものキム兄ではない、木村“監督”の「時間がかかってもいいから丁寧に」というアドバイスにも感動したそうです。

バッファロー吾郎・竹若元博は「一番登場シーンの短い役かと思ってました」と、ほかのキャストの出演時間に関するコメントに驚きを感じた様子。そして、「監督が撮影前にかなりの時間を費やしてくれて、撮影はあっという間に終わりました」と監督の指導ぶりを紹介しました。そして、バッファロー吾郎・木村明浩の「うまくいかない動きがあった時に、監督の一言でスムーズになったんですけど、そこをお見逃しなく」というネタバレのコメントに、藤井はビックリ。続いて「尊敬する木村さんの映画に出演することができ、今日も赤ちゃんからお年寄りまで大勢の人が見に来てくださり、すべて木村さんのお人柄です」と藤井が真剣に話せば話すほど、なぜか会場からは笑いが起こりました。

最後に木村監督は前作に続いて、本作も映画を撮り終えた後、スタッフや出演者に幸せが訪れたというエピソードを紹介して締めくくりました。

舞台あいさつの後に開かれた囲み取材では、木村監督が「オムライスはみんなに愛されている料理だから」とタイトルに込めた思いとともに、ポスターのオムライスは木村監督自身が作ったことを明かしました。また、家族の絆を感じられる映画という話に広がり、南野さんの「家族や友だち、仲間みんなが大きな家族のようなもの」というメッセージをきっかけに、陣内さんは「今年の映画祭は連帯感をとても感じています」、藤井も「日本中が家族なんだと思って、何かできることがしたいです」と今の思いを語りました。