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2011.03.25  
【沖縄で生まれたエールを浴びながら】沖縄4日目――3月25日(金)「お笑いオリンピックを競い合う日へ向けて」
この日は「翻訳なしで世界中の人を笑わせる」映像のNo.1を決めるイベント「World Wide Laugh」が開催された。
吉本興業が世界を視野にいれた時、最大の案件は言葉=「日本語」だった。世界でも稀な漫才という、コメデイの形態においてここまで笑いのクオリティが高まるとは、かって誰も考えていなかった。鼓や三味線を手に、多くは夫婦漫才の形式を中心に、世相を面白おかしく風刺したり、エンタツ・アチャコに代表される、ゆったりとした、しゃべくり漫才がずっと王道中の王道だったからである。
だがMANZAIブームを経て速射砲のような若者トークによる漫才が市民権を得てから、笑いの質は、加速度的に進化した。おそらくこれほど 、「笑い」を突き詰め、昇華させていった文化は世界のどこを探してもないだろう。
ガラパゴス、かもしれない。だが、コミックスやアニメ、ゲームと並んで、世界に誇るエンタテインメントの一つであることに異論はないはずだ。
ならば、この「笑い」という文化を輸出しても、その本質さえ理解されれば、それは青天井のビジネスに化ける可能性がある。
夢は壮大に広がって行く。
もっとも、漫才という文化はボケとツッコミの会話=「しゃべくり」がキモだ。一々、字幕を付けたり、通訳をつけていたのでは、100%、その良さが伝わらない。
そこから、外国人にもわかる「国境を超える笑い」の模索が始まった。その模索から、ノンバーバル(非言語コミュニケーション)の笑いへのチャレンジが始まった。
パントマイムほどシンプルではないが、所作や動きやジェスチャーで作り出す21世紀型の新しい「笑い」のフォーマットの創造。時間にして、3~5分。言葉はナシ。全世界共通の擬音や悲鳴や動物の鳴き真似、BGMなどはOK。仮に、この新ジャンルが成立すれば、笑いを極めている日本が先行して主導権を握ることができる。うまく事が運べば、映像配信時代のキラーコンテンツの可能性すら、ある。
そこで第1回沖縄国際映画祭から、手探りの状態ではあったが、「ノンバーバル」部門を設けた。第2回からは、配信を絡めてニコニコ動画とジョイントして決勝大会はネットで生中継し、視聴者投票という形態をとった。
第3回目となる今回のお題は「ゴールの瞬間の喜びを、言葉を使わずに表現して下さい」。アメリカや韓国、ノルウエー、アイスランドなど、動画投稿時代を反映して、世界各国から応募があった。
優勝はTBS「あらびき団」チームの“BALOON MAN The CHALLENGE”。ニコニコ動画賞とのダブル受賞だった。
世界に先駆けた試みであることは誇っていい。いつか世界各国が、お笑いオリンピックを競い合う日が来るその時のために。笑いの深度において日本を上回る国は、歴史上、どこにもないのだから。
(文=麻生香太郎)
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