3月25日(金)、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターのシアター1にて、本日最終作品となる『津軽百年食堂』が上映されました。上映に先立って行われたシアターレッドカーペットと舞台あいさつには、大森一樹監督、オリエンタルラジオの中田敦彦と藤森慎吾、福田沙紀さん、ちすんさんが登場しました。
本作は100年続く大衆食堂を舞台に、父親と息子の確執、家族の絆、故郷への反発を描いた人間ドラマ。東日本大震災の被災地の一つである青森で撮影されたとあって、舞台あいさつでは大森監督が「運命を感じています」と切り出しました。続いて、福田さんも地震の前日に八戸市で地域の方々と交流していたことに触れ、「他人事じゃないと感じました。私たちにできることは少ないけど、気持ちを一つにして力になれたらいいなと思っています」と神妙に話しました。
森沢明夫の同名ヒット小説を映画化するにあたって、大森監督は「オリエンタルラジオのキャスティングに魅力を感じました……と、ここでは言っておきます」と述べると、中田と藤森は2人そろって監督に深々と一礼。監督からは「劇場用映画初主演とは思えないほど、2人とも(演技が)うまくて驚きました」と称賛の言葉が続きました。
そんな言葉を受けてか、藤森は「絶賛していただいて、ホントにうれしいです。精一杯、頑張りました。真面目で誠実な青年を演じています」と、いつものチャラいキャラとは違った表情。一方の中田は照れくさかったのか「監督が褒めてくれるし、ノセてくれるので、撮影中、若干、天狗になってました」と笑いを交えてコメントしていました。
悩みながら生きている登場人物たちに共感する部分が多かったという福田さん。唯一、共感できなかったのは「出会ったその日に、出身地が同じだからという理由でルームシェアする展開」だったとか。また、撮影中は藤森のチャラいキャラを全然知らなかったそうで「撮影後にテレビを見てびっくりした」と笑っていました。また、ちすんさんは青森のホテルに1カ月間泊まり込んだエピソードを語り、「待ち時間もみんなでランチに出掛けました」と和気あいあいといった現場の雰囲気を話していました。
そんな出演者たちをまとめた大森監督は「年齢が三回りも違い、還暦を前にして青春映画を撮っていていいのかなと思いましたが、撮影期間中は青春しちゃいました」と照れ笑い。「心温まる本当にいい映画で、これは東北の人の心や優しさ、誇り、情熱のおかげだったんだと思っています。東北の劇場でも予定通り上映されるので、この映画が東北の方々のひと時の安らぎになり、全国の人々にも東北へのささやかな思いを持ち続けてほしいと祈っています」と結びました。
舞台あいさつに続いて行われた囲み取材では、大森監督が「最近の過剰な青春映画ではなく、普通の青春、泣いたり、わめいたりしない青春を表現したかった」と補足を。オリエンタルラジオの演技にも再度触れ、「初々しくて良かった。日本映画にこういう俳優はいないので、新しいキャラクターの登場だ」と褒めちぎっていました。