3月24日(木)、沖縄コンベンションセンターにて、地域発信型映画の2作品『一粒の種~真太陽の島の大合唱~』(沖縄県宮古島市)と『ソラからジェシカ』(千葉県成田市)が上映されました。上映に先立って行われたシアターレッドカーペットと舞台あいさつには、『一粒の種』から宮古島出身の歌手・砂川恵理歌さん、シンガーソングライター・下地勇さん、宮古島のイメージキャラクター・ミヤが、『ソラからジェシカ』からは佐向大監督、陣内智則、ロザーナさん、成田市
を代表して戸村正宏さんらが登場しました。
今回の映画祭で唯一のドキュメンタリー映画である『一粒の種』について、砂川さんは「幼稚園児から90歳までの老若男女が、それぞれの大切な人を思って歌っています。声の力と、宮古島を感じ取ってもらえたらうれしいです」とコメント。336人が一つとなって歌った現場について「空気がビリビリと震え、歌の力から何かを感じて泣き出す子もいました」と振り返っていました。
一方、映画の元となった同名曲を作曲した下地さんは「末期がんの患者さんが残した言葉『“一粒の種”になってでもいいから生きたい。そして小さな芽になって生まれ変わって、あなたのそばにいるよ』という思いが込められています」と高橋尚子さんの詩について紹介。曲を付けてほしいと依頼を受けた当時は「詩の内容が重く、1年近く曲を書けなかったので、もうダメですと断った」そうですが、「詩に向き合っているうちに曲を付けたいという思いが強くなり、ようやくできた曲なんです」としみじみ語っていました。
続いて「ソラからのジェシカ」のメンバーによるあいさつへ。佐向監督は「『一粒の涙』は非常に感動する作品なので、皆さん楽しみにしててください」と自分たちの作品ではなく『一粒の涙』をまずはプッシュ。不意打ちのコメントに、会場からは笑い声が起きました。続く陣内も「『一粒の涙』、めちゃめちゃ感動する素晴らしい映画です」とかぶせて笑いを起こし、その後「『ソラからジェシカ』も負けず劣らずの作品です。『一粒の種』が非常に感動する作品なので、その流れで『ソラからジェシカ』も見ていただきたい」と“便乗宣言”をしていました。
ヒロイン役のロザーナさんは「撮影は緊張しましたが、映画は楽しいものに仕上がっています」と自信の笑顔。印象に残っているシーンを聞かれると「これ、言っちゃってもいいのかな?」とこれから観賞するお客さんを気遣いながら「無口な役の陣内さん演じる男性が感情的になるシーン。こんな顔もするんだって思いました」と語っていました。
舞台となる落花生工場をロケ地として提供した戸村さんは、「スタッフさんは毎日、夜中の2時、3時まで仕事をしているのに、翌日朝6時にはきっちり集まっているんです。変態かと思いました」とスタッフの真剣さをあえて笑いを交えて表現。すると、佐向監督は「戸村さんが(撮影のためなら)工場を壊してもいいと言っていた」という、これまた熱のあるエピソードを明かし、出演者やスタッフ全員がこの映画にかける思いが伝わってきました。
最後に、シメの言葉を促された陣内は「やっぱり336人で大合唱した現場はすごく感動的でした」と再度『一粒の種』ネタを引き合いに出し、続けて「落花生の種が『一粒の種』だと思います。二つで一つの映画です」とうまくまとめ、満足そうな笑顔を浮かべていました。